この住宅は、江戸時代の上総地方の典型的な様式を備えた構造をしており、小屋組・軸組の構造を始め、内部造作もしっかりと保たれています。ただ、数十年の空き家状態となっており、一部の屋根や内部の傷みが進んで深刻な状態になっています。特に、裏山に面した水場付近の傷みは、建物まわりの排水経路が放置されていたためと思われ、今後水路(みずみち)の調査を行い、江戸時代の敷地状況を復元して、建物を恒久的に保存活用できる周辺環境の整理をしていきます。
今回のプロジェクトの特徴は、270年余りこの地に建っていた民家と建物環境の歴史的・文化的価値を調査研究によって明らかにすること。また、建物及びその周辺を再生(利活用も含む)することによって、付近一帯の環境を、特に水や空気の流れに注目しながら、大地に最善な形で修復することを目指すことです。
また、このプロジェクトは、管理者の状況によらず、永続的に社会的共有財産として維持していかれるような仕組みづくりを研究し、これをモデルケースとして全国の自然環境、歴史的環境を生かしていくことのできるように情報を発信していきます。
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